僕は一口馬主で出資馬を考える時には血統表を見てNorthern Dancerの血量とクロスの形を調べます
Northern Dancerは20世紀最高の種牡馬と言われ、その子からも一流種牡馬が何頭もいます
Northern Dancer系種牡馬と言っても傾向はヨーロッパ向きアメリカ向き日本向き、あるいは芝向きダート向きなど様々
血統表にあるNorthern Dancer産駒がどのような性質を持っていて自分の欲しい馬の性質と合っているのか、よく分析する必要があります
今回は日本で走る競走馬にどのNorthern Dancer系種牡馬の血が良いのか、独断と偏見によるランキングを作ってみました
日本で走るNorthern Dancer直子種牡馬ランキングベスト10
どうぞ!
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1位:Lyphard
最強種牡馬ディープインパクトの母父父でありハーツクライの母母父でもあります
さらに次世代リーディングサイアー候補キタサンブラックはLyphard4×4のクロスを持っています
海外ではそんなに広まっているわけではないのに日本でこれだけ超大物が続出しているのはすごいことです
Lyphardの特長は1600mから3200mまでこなせる圧倒的な「日本の芝への適性」
蹄か脚元の強さに秘密があるのでしょうか?
特にサンデーサイレンスと合わさることで強力な化学反応が生まれます
まさに日本の芝のGIを勝つための最強の血
ぜひ積極的にクロスで補っていきましょう
2位:Nureyev
大種牡馬キングカメハメハの父母父、GI9勝最強牝馬アーモンドアイの母母父、最近話題の牝系の祖ソニンクの母の父でもあります
ジャングルポケット、ゴールドアリュール、トゥザヴィクトリーの母父であることから想像すると、パワーがあり芝もダートもこなせる万能型で、覚醒すると世界まで突き抜けるほどの底力を発揮します
やや一本調子なところがあるもののスピードがあり、マイルから2000mまで粘りきるスタミナがあります
日本での適性は十分で積極的に集めたいです
3位:ノーザンテースト
日本で最も広まったNorthern Dancer系種牡馬
ノーザンテーストの特長と言えば頑丈さと古馬になってからの成長力で、Lyphardほどではないにしろ日本の芝中距離への適性も高いです
オルフェーヴル・ドリームジャーニー兄弟がノーザンテースト3×4のクロスを持ち、競走馬としても種牡馬としても成功しました
直系の種牡馬はいなくなっても母系を通じた影響力は健在
日本の種牡馬・繁殖牝馬に広く広がっているので比較的集めやすい血でありながら底力と日本への適性は確かです
遠慮なくどんどんクロスで集めましょう
4位:ラストタイクーン(トライマイベスト)
Northern Dancer産駒トライマイベストの子で、Northern Dancerの孫にあたります
影響力を考えると父のトライマイベストよりラストタイクーンに注目する方がよいでしょう
ラストタイクーンは大種牡馬キングカメハメハの母父であることが大きなポイント
キングカメハメハの血統では父Kingmanboとその母父Nureyevが注目されがちですが、Kingmanbo系はキングカメハメハ以外は今イチな感じです
Nureyev単体でも素晴らしいものの、キングカメハメハの成功では母父ラストタイクーンとのクロスが重要なカギだったのではないでしょうか
そして2023年にラストタイクーンを祖父に持つ直系子孫サトノクラウンがダービー馬タスティエーラを出すに至っては評価を上げざるを得ません
日本の芝1600m~2400mに高い適性を示しており、重要な血であると考えます
5位:Nijinsky
Northern Dancerの2年目産駒でイギリス三冠馬
Northern Dancerの血の力を最初に世界に知らしめた偉大な「長男」です
マルゼンスキーの父として、日本でもNorthern Dancerの力を最初に示した種牡馬でした
ダンスインザダークの母父であることから想像できるように、Nijinskyが入ることで芝への適性と豊富なスタミナが伝わります
芝の2400m以上をこなすためにはぜひ欲しい血です
しかしスピードには欠けるようで血量があまり多いと良くないみたい
スペシャルウィークのように3代前まで薄くなると安定した力を発揮できるようです
日本でもよく広がっている血なので細いクロスで集めていくのが良いと思います
6位:Storm cat(Storm bird)
Northern Dancer産駒Storm birdの子で、Northern Dancerの孫にあたります
ラストタイクーンと同様、父のStorm birdではなくStorm catの方に注目した方がよいでしょう
次世代リーディングサイアー候補筆頭ロードカナロアの母父
また父ディープインパクト×母父Storm catの配合で活躍馬が続出しました
Storm cat産駒は爆発的なスピードがあって仕上がりが早い早熟のスプリンター、しかしペースが一本調子で末脚のキレが無いという傾向がありました
LyphardやNijinskyとは逆の性質なので、掛け合わせたらお互い良い所をつぶし合うのかと思いきや、弱点を補い合うように良い方向に作用するようです
日本の芝で走る馬には秘伝のスパイスとしてひとつまみ加える感じで配合するのが良いと思います
7位:Danzig
グラスワンダーの母父でありスクリーンヒーローの父母父、ハービンジャーの直系の三代父です
かつてDanzig産駒が日本で走っていた頃はスピードを抑えきれない一本調子のかっとびスプリンターが目立ちました
代を経てその血が薄まるとやや一本調子ながらも少し落ち着いて、1600~2000mの中距離でしぶとく走る馬が出ています
Storm catとは距離適性と一本調子な所が似ていますが、そこまで早熟ではなく成長力が見られます
Storm catと同様、Danzigメインで集めるのではなくひとつまみ加える感じの配合が良いのではないでしょうか
8位:Sadler’s Wells
ヨーロッパで最大の系統を築く大種牡馬
日本ではかつてはテイエムオペラオー・メイショウサムソンの父父として、現代ではエピファネイアの母母父として存在感を示しています
超大物を出す血ではあるものの馬によって当たり外れが大きいのがクセ者
おそらくSadler’s Wells自身が最もNorthern Dancerに似ていて、「堅牢だが重すぎる」を地で行く性質なのではないでしょうか
Nureyevと近親ですがだいぶ性質が違います
強いスタミナを持っていて2400m以上の長距離適性が高いけどNijinskyほど芝への適性は無く、ダート長距離しかダメなこともあったりして取り扱いが難しい
基本的にSadler’s Wellsは細い線で取り入れて他のNorthern Dancer系とクロスさせて配合するのが良いと考えます
9位:Deputy Minister(Vice Regent)
Storm cat、ラストタイクーンと同じく、Northern Dancer直子Vice Regentよりも孫世代のDeputy Ministerから広がっていきました
Deputy Ministerはフレンチデピュティの父で、クロフネの祖父にあたります
傾向としては芝もそこそここなせるけどほぼダート向きでスピードとパワーを兼ね備えています
芝で走らせる分にはあまり重要ではないですが、ダート馬として配合するならクロスで集めると面白いと思います
10位:The Minstrel
父Northern Dancer、母父がノーザンテーストと同じVictoria Park、母母はNijinskyの母Flaming Pageという血統
3位ノーザンテーストと5位Nijinskyをミックスした血統の馬です
現代においてはほとんど廃れていてゴールドシップの血統表以外ではめったに見られません
昔の種牡馬事典でThe Minstrel系種牡馬の傾向を調べてみると「平坦巧者」と書いてあり、ゴールドシップまんまやんと思いました(笑)
積極的に集めるほどのものではないですが一応筋の通った血統なので、あれば一定の評価をしてもよいでしょう
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11位以下、次点としてDixieland Band、Be My Guest、Fairy Kingなども日本向きの良質な血統として挙げておきます
これらランキング上位のNorthern Dancer系種牡馬のクロスを持つ馬には注目していきましょう
サラブレッドの血統は非常に奥が深いです
まずは20世紀最高の種牡馬Northern Dancerに絞って血統表を眺めてみてはいかがでしょうか?