前の記事で僕が出資馬選びで重視する項目として「母の繁殖能力」を挙げました。
この繁殖能力は、母の父のBMSとしての成績、母の産駒成績、母の出産時の年齢から推定するものであると考えます。
ここで見落としがちなのが母の年齢による衰え。
何歳で衰えるのか定式化するのは難しいですが注意が必要です。
「いくら血統が良くて産駒に活躍馬を出していても年齢による繁殖能力の衰えを考慮しなければならない」
「衰え始めが16歳で、18歳を越えるとさらに低下する」
というのが僕の持論です。
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それからこの考えに基づいて出資馬検討のために血統表を見ていたところ、また一つ疑問が生まれました。
「母の年齢は若いけれど、上の世代にさかのぼった時に高齢出産で産まれた馬がいると影響はあるのだろうか?」
というわけで、多くの名馬について母系が母~祖母~曾祖母とそれぞれ何歳で子孫をつないできたのか、調べてみることにしました。
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調査対象:2007年~2017年のダービー&オークス勝ち馬(牡11頭・牝12頭)
名馬の選び方はいろいろあるでしょうが、世代差・性別差が小さくなるように、一旦このようにサンプリングしました。
調査内容:子~母、母~祖母、祖母~曾祖母の年齢差
(=母・祖母・曾祖母の出産時年齢)
で、こちらが結果です。
以上のように調べた結果、
「G1馬23頭の血統には母系3代以内に含まれる14歳以上の高齢出産が少ない」という傾向が見られました。
母子の年齢差13歳以下の割合が87%。
クラシックホースの多くは母系が若く血をつないできたと言えます。
6歳以下の若い年齢も少ないですが、これは多くの牝馬が若い頃は競走馬として走っていて若い繁殖牝馬の母数が少ないためでしょう。
母馬が若いとダメということは無いはずです。
同様に14歳以上の高齢が少ないのも高齢で出産する牝馬の母数が少ないせいじゃないか?とも考えられます。
しかし血統や繁殖実績が劣る牝馬は繁殖を引退するので、
高齢で出産する牝馬は母数が少なくても優れた実績を持つ繁殖牝馬の割合は高いはずです。
それでも母系3代内に高齢出産は少ない。
もし年齢の影響が無いのであれば、例えばダイナカールのような優れた繁殖牝馬は高齢出産で産んだ牝馬からでもいくらでも母系を広げているはず。
みんな祖先がダイナカール!…となるはずがエアグルーヴ以外からはそれほど広がっていない。
やはり高齢出産を経ると子孫に伝わる血の力がある程度弱まるのではないかと考えられます。
どこで線を引くのかは難しいですが、16歳以上ならまず高齢出産と言えるのではないでしょうか。
血統表で配合を見ることも大事ですが、その血が若くつながれてきたものかという点はその血統表が評価に値するかを判断する重要な項目であると言えるでしょう。
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と、ここまでもっともらしく書きましたけど、じゃあアイツはどうなんだと。
アイツです。キズナです。
上の表にもありますが、キズナは母が20歳の時に産んだ馬だし、
よく見たらその母キャットクイルも祖母が17歳の時に産んだ馬のようです。
彼がダービーなんか勝っちゃうからここまで書いてることも説得力に欠けちゃうし、
僕もそのダービーで単勝を外したわけです(本命エピファネイアで買ってた)。
何なんでしょう、彼…。(キライじゃないけど)
まあ、何でも少数の例外はあるってことは頭に入れておきましょう😅
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