流動体についてCD

オザケンと東京 ―「流動体について」を買った

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小沢健二さん、オザケンは僕が人生で初めて好きになったアーティストです。

先日のMステに19年ぶりに出演。新曲を披露。
声が出てないな。歌唱力は昔もこんな感じだったかな。
でもちょっと痛々しい…。
ルックスもドリフの仲本工事さん…?
曲はなんかいいかも。
と言うのが歌を聞いて直後の感想でした。

が、

それから2日、3日。
オザケンの歌のフレーズ、曲、映像が頭から離れないのです。

「羽田沖 街の灯が揺れる」
「雨上がり 高速を降りる」
羽田から湾岸線、夜の首都高を走る映像が浮かんできます。

それからオザケンの昔の歌が次々に頭の中に蘇ってきました。
オザケンの新曲は昔のオザケンそのものだった!

そして、もう一回新曲を聞きたいと思うようになり、急ぎアマゾンで「流動体について」を購入してしまいました。
「流動体について」「神秘的」をループで聞きながらこれを書いています。

姿は年をとったかもしれませんが、今ではすごく価値のあるMステ出演だったと思っています。

オザケンが登場した1990年代、僕は10代でした。

当時は小室哲哉サウンド全盛、ビジュアル系バンドも多かった時代。
そんな中、カジュアルなルックスで飄々とした雰囲気のオザケンに親しみを感じたというのがまずあったと思います。
ミスチルみたいにどーんと売れたわけではなく、力抜けてる感じがよかったですね。
スピッツとは少し共通してるかもしれません。スピッツも僕は好きです。

当時は出演した番組を録画して見ていました。
HEY!HEY!HEY!でのダウンタウンとのやりとりは面白かったですね。

オザケン「僕すっごい頭良いんですよ。(会場笑) 塾とか行ったこと無いし。」
ダウンタウン「で、東大!(呆)」

ところがこれが屈託がないと言うかホントのことだし、もう突き抜けちゃってるので、松ちゃんも笑って「僕は小沢君のことが好きになりました」と言っていました。
オザケンももしかしたら当時若くて尖ってたかもしれませんけどね。

オザケンのアルバムは3枚持っています。
やっぱり「LIFE」の完成度が素晴らしすぎました。
有名な「ラブリー」を含め全曲が素晴らしい。
当時はIPodとか無いのでずっとCDで再生しまくって、CDが音飛びするようになっちゃいました。

楽曲はアコースティックな感じが好きでしたね。
歌詞は「都会的な固有名詞を使うセンス」と「情景が浮かぶ表現」のがオザケンの良さだったのかなあ、って思いだしています。

「固有名詞を使うセンス」はサザンの桑田さんもお得意のものですね。
「砂まじりの茅ヶ崎」とかすごいインパクト。

オザケンの場合、
「東京タワーから続いてくる道 君は完全にはしゃいでるのさ」
「寒い冬にダッフルコート着た君と 原宿あたり風を切って歩いてく」
「プラダの靴が欲しいの そんな君の願いをかなえるため」
都会的なワードを織り込んで歌詞の世界を作るのが上手いなー、って思います。
都会的でポジティブな歌詞のイメージがオザケン自身の人となりともマッチしてたのが良かったのではないでしょうか。

観察力や表現力が豊かなアーティストはたくさんいます。
でも、そのアーティストの生い立ちなどで作風が決まり、書くことが出来ても、書きたくても、決して作品に出来ないものがあると思うのです。

例えば、サザンの桑田さんが歌で描くのは湘南の海であったり、街の華やかさを歌っても横浜だったりします。
福山さんや長渕さんが描く東京は、「上京してくるところ」です。
たとえ東京に長く住んでても、どうしても生い立ちから「キラキラした東京」を歌えない。
キラキラした東京は「近くて遠い存在」になってしまうのです。

オザケンは生い立ちも人となりも「王子様」で、オザケンほど「都会的でキラキラした東京」を堂々と歌える人っていなかったんじゃないかと思います。
原宿や東京タワーをウキウキデートする描写に全く無理がありません。
この点で唯一無二の存在。
オザケンのファンは、オザケンの「都会的な姿」に憧れや羨望に似た気持ちを抱いていたんじゃないでしょうかね。

新曲の「流動体について」は、タイトルからは「球体の奏でる音楽」のような少し重い感じをイメージしてましたが、

「羽田沖 街の灯が揺れる」

で一気にハートを鷲づかみ。
この風景描写とストリングの効いた軽快なメロディで、かつてのオザケンの記憶が蘇る懐かしく新しい曲だと思いました。
カップリングの「神秘的」にも「東京」のワードが出てオザケンらしい曲だと思います。

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ちなみに僕がオザケン以降に好きになった男性歌手は、真心ブラザーズとbacknumberです。
この両名も特に歌詞から好きになったのですが、オザケンとは違った観点で好きですね。

「生の肯定」「運命の肯定」エネルギーにあふれる真心ブラザーズ。
未練たらしい心の機微の捉え方、描写が最高に上手いbacknumber。

表現できる作風はそれぞれ違い、そんな一貫した作風を持っているアーティストは魅力的だな、と思います。

オザケンの今後の作品も楽しみにしたいです。

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