一口馬主の馬の貢献度は「回収率」より「収支」で見る

一口馬主をやっていると、つい「回収率」に注目してしまいがちです

実際、一口馬主DBなどでは「獲得賞金 ÷ 出資額 = 回収率」という形で、馬ごとのパフォーマンスが数値化されています

しかし、私自身が約8年間出資を続けてきて実感したのは、「馬の貢献度」を本当に測るには、回収率ではなく収支を重視すべきだということです


回収率と収支は似て非なるもの

たとえば、次の2頭の馬を比べてみてください

  • A馬:募集価格 1,000万円、獲得賞金 6,000万円 → 回収率 600%、収支 +5,000万円
  • B馬:募集価格 5,000万円、獲得賞金 15,000万円 → 回収率 300%、収支 +10,000万円

数字だけ見ると、回収率の高いA馬の方が効率が良く見えます

しかし一口馬主にとって本当に重要なのは、出資馬全体でいかにプラス収支を生み出すかです

この観点では、+1億円をもたらしたB馬の方が、ポートフォリオ全体の収益に貢献していると言えます


レースの賞金には構造的な偏りがある

この差をさらに大きくしているのが、レース賞金の構造的な偏りです

中央競馬では、下級条件のレースで勝っても得られる賞金はせいぜい数百万円~1,000万円程度ですが、GⅠでは勝てば1億円以上、5着でも数千万円が入ることもあります

つまり、条件戦を積み重ねるより、大レースを一発勝つ方が収支へのインパクトは圧倒的なのです


「高額で低回収率」でも、貢献度が大きいこともある

このように賞金が偏っている以上、たとえ高額で回収率が低そうに見える馬でも、重賞やGⅠを勝てば収支で大きな黒字を生み出す可能性があります

したがって、「大きなレースを勝てる可能性があるか?」という視点は、出資判断において非常に重要です

効率だけを追って低価格馬ばかりに出資していては、全体収支にインパクトを与える馬を逃すリスクもあります


一口馬主は「一発大当たり」を狙うゲーム

現実には、多くの馬が出資額を下回る成績で終わります

つまり、一口馬主の収益構造は、多数の小さなマイナスと、ごく少数の巨大なプラスで成り立っています

たとえば、収支+1億円の馬が1頭いれば、赤字1,000万円の馬を10頭抱えていてもトータルで±ゼロにできるというように

しかも、その「一発の当たり馬」が生む利益の多くは、GⅠや重賞などの高額賞金による一度の勝利から生まれているケースがほとんどです

この構造を理解しておくと、「いかに効率よく稼ぐか」ではなく、「どの馬が状況を変える一撃を持っているか」という視点が持てるようになります


まとめ:貢献度は「収支」で測る

一口馬主にとって本当に価値あるのは、回収率が高い馬ではなく、全体の収支を大きく押し上げてくれる馬です

そのためには、たとえ高額でも「大レースを勝てる器の馬」に出資する判断力と覚悟が求められます

回収率はあくまで一つの参考指標にすぎません

「いくら稼いでくれたか」こそが、真の貢献度

これが、私の出資経験を通じて得た教訓です

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